ジャズ、ニューヨーク、小松さん

クロード・ブラウン著「ハーレムに生まれて―ある黒人青年の手記」(Manchild in the promised land by Claude Brown) は15歳ぐらいの時に読んだ本。人間にとって本来持って生まれた人間の性質が大事か育つ環境が大事かを考える時に常に頭に浮かぶ一冊。

これを読んだ時は、人間はどんな環境にいても自分次第だと強く思った。若い時にどんな環境にいても周囲に流されずに頑張ろうと思うようにさせた一冊であった。

10代で受けていたTOFELのライティングの試験には「nature or nurture?」(氏が育ちか)という問いがよくあって、必ずこの本のことに触れた。

本の舞台は1940〜50年代のニューヨークのハーレム。ドラッグに溢れ、殺人が日常茶番時。ギャングの争いで、殺して心臓を見せびらかす。著者が大人になる頃には、多くの幼馴染は既に逝ってしまった。劣悪な環境で多くの犯罪を犯し、少年院に入った。しかし、勉強して、弁護士になった。この本は、彼の壮絶な人生を多少脚色した自伝、私小説なのだろう。当時流行っていたジャズ、白人女性との恋愛、子供には刺激的な話が出てきたようにうっすらと覚えている。

今日初めて同時通訳者の小松達也氏が翻訳者と知った。恐らく翻訳がよかったので、当時幼かった自分も読み切れたのだと改めて実感した。原書は読んだことがないので、早速購入した。小松さんには成人する前に実はお目にかかったことがある。知力と体力が要求される同時通訳者をこれほど長くやっている彼を尊敬してやまない。彼の言語に関する著作は今でもよく参照している。

即興演奏と同時通訳は似ている気がしてならない。

 これについてはまた考えてみたい。

自分の人生に影響を与えるものや人間は映画の予告のように早い段階で遭遇しているものだなと実感した。ジャズ、ニューヨーク、小松さん。