メキシコのコスメル島とスライサー

コスメル島は、カリブ海の西側、ユカタン半島の東にあるメキシコで一番大きな島。
メキシコ有数の観光地で、世界中から観光客がやってくる。治安も良く、透明度を誇る海でダイビングを楽しめる。マヤ語で燕の島という意味。

2010年前後にカリブ海のクルーズシップで演奏をしていた時、この島に立ち寄るのをいつも楽しみにしていた。しかし、島の道の状態は非常に悪く、両肘に深い擦り傷を負ったことがあった。

島からクルーズシップに戻る時にセキュリティを通過するのであるが、この怪我について色々尋問され大変であった。ようやく尋問が終わり、船の医師と看護師に怪我をみてもらった。その時に怪我の手当てを実際に行ったアメリカ人の看護師は湿潤療法を実践していたのである。しかし、当時傷は瘡蓋ができて治るものだと思っていたので、この治療法には疑問を抱いていていた。当時は、湿潤治療法という名前も知らなかったのであるが。

ちなみに湿潤療法とは、モイストヒーリングとも言われ、傷口を乾かさずに治す。消毒もガーゼも使わない治療で瘡蓋を作らずに治っていく。

この湿潤療法では、治りが遅いと思い、船の医務室にまた行った。すると今度は南アフリカ出身の看護師が傷口は、「開いて乾かせ」と言い始めた。自分もこの方法に馴染みがあったので、早速瘡蓋ができて安心したのを覚えている。

ところで、今月の初めに人差し指の先端の左側1/8程度をスライサーで削ってしまった。立ちくらみしたのであるが、血が少し止まった状態で、歩いて数分の整形外科に駆け込んだ。しかし、その整形外科は非常に人気があり、患者で溢れていた。怪我した指を見せると、「電話をしてからきてください。一応、緊急性があるので診察はします」とのことであった。待つこと1時間半、ようやく診てもらえた。人柄のよさそうな医師に丁寧に診てもらい、湿潤療法を用いて治すとのことであった。一ヶ月以上かかるとのこと。

今回はその医師の言うことを信用し、三週間が経ち、この両方で傷口が治ってきた。まだ爪は再生してはいないが。

自分の怪我の治療法「瘡蓋をつくる」と言うことが見事に古い考えであることがわかった。
当時のアメリカの看護士の治療法(湿潤療法)より、南アフリカの看護士の治療法(瘡蓋を作る)を信頼していた自分の間違いにようやく気づいた。

怪我の種類にもよるが今は「湿潤療法」派であるが、「瘡蓋を作って治す療法?」もある場面では有益になることもあるという考えを常に持つようにしなければならないと思った。